福嶌経営労務事務所 〒861-1112 熊本県合志市幾久富1909-79 MF2-B TEL 096-249-2040 FAX 096-249-2038
中小企業診断士・社会保険労務士

企業家社会へのマイル・ストーン企業家社会へのマイル・ストーン

1. 創業にあたっての心構え
      〜創業までにこれだけはやっておこう〜

(1)事業を興す人より事業から撤退する人が増えている開廃業率の逆転現象が、1989年以降継続しています。また大企業は、コストを削減して体質をスリム化し、生き残りに必死になっています。このような時代に、「まちの企業家」として新たな第一歩を踏み出すことに躊躇するかもしれません。しかしながら、創業希望者が決して減少しているわけではありません。


第1図 創業希望者と創業実現率の推移


(2)では、創業を希望しているのは、どのような人たちでしょうか。また、実際に創業しているのは、どのような人たちでしょうか。

★創業希望者では8割が男性となっているが、実際の創業者はその比率に比べ女性の割合が高い 第2図 創業者・創業希望者・創業非志向者の比較(性別)


(3)次に年齢別内訳を見てみましょう。
★3者の中で比較的若年層が多い
創業希望者と60歳以上の割合
が高い創業者
第3図 創業者・創業希望者・創業非志向者の比較(年齢別)


(4)では、創業した人の動機は何でしょうか

第4図 創業の動機

★ 自分の裁量や自己実現を求めて創業する人が多い
★ 年齢に関係なく働きたいという動機が強い女性

以上のように、創業希望者の数は着実に増加し、女性も積極的に創業して、年齢構成も幅広く高齢者の割合も高くなっています。また、創業の動機も自己実現を図りたいなど、上昇志向が多いようです。

(5)それでは、創業の志を持った人が実際に創業するまでに、どのような課題に直面しそれを克服していったのでしょうか。夢や希望を実現させるためにはステップがあります。いきなり幸運が訪れることはありません。有り余る経営資源をもって創業できる人は皆無といってよいでしょう。計画を立て、実行し、修正していく。そのプロセスを継続することが成功へのマイル・ストーン(道標)となっていくのです。

第5図 創業の困難性(創業者の性別)



★ 1「資金面の困難性」、2「マーケティング面の困難性」、3「人材・経営能力面の困難性」、4「制度・手続面の困難性」と大別できる。
★ 男性と比べて、経営知識・ノウハウや専門家のアドバイスを得にくい状況にある女性起業家

創業にあったての心構えとは、自分の意思を決定することであり、意志を決定するためには現状を正確に把握することが必要です。創業時の課題(困難性)を自分自身に当てはめて分析し、一つずつ解決していかなければなりません。創業後のビジネス展開には夢や自信があり、プロフェショナルかもしれません。しかし、創業がはじめての経験である以上、綿密な計画を立てておかなければ、おもわぬ落とし穴がたくさんあります。もちろん、一人ですべてが完全に解決できるわけではありません。そのために、さまざまな支援制度が存在します。不安要素をできるだけ少なくし、開業後は本来の事業に邁進できる環境を作っておく必要があります。

(6)創業においての困難性を一つずつ見ていきましょう
「資金面の困難性」

自己資金でまかなえる計画を立てましょう。まず、身の丈にあった資金計画からスタートしてください。「とりあえず開業しすぐに運転資金は金融機関に借り入れしよう」では事業の存続は困難です。また、「有限会社を設立したいが資本金の300万円は金融機関から借り入れしよう」これは論外です。
しかし、業種によっては自己資金だけでは賄えない場合も当然あります。その場合は、事前に国、県、市町村、あるいは民間の金融機関等に相談してからスタートして下さい。国民生活金融公庫の新規開業資金、女性・中高年企業化資金、熊本県の創業者支援資金、熊本市の起業家支援資金制度などがあります。
しかし、融資を申し込んだら必ず受けられるとは限りません。そのときは、計画そのものを最初から見直すことが必要になります。


「マーケティング面の困難性」
「販売先の開拓」「仕入先の開拓」「市場の調査・分析」などのマーケティング面での困難性は大別すると二つのタイプにわかれます。一つは、いままで事務的な仕事の経験が多く営業面での経験が少ない人。もう一つは、営業畑で在職中に実績があり過信している人。
前者はアントレプレナーDo it、熊本県雇用創出交流会、ビジネスプラン作成セミナー、くまもと起業塾、創業塾などの公的支援機関において第三者の客観的なアドバイスを受けて実際の行動プランを立てることも有用です。
後者も同じことがいえます。サラリーマン時代の実績を、すべて自分の力とは考えないでください。組織の力ではなく個人の力で開拓し新たに一から組織を作り上げることは本質的に違います。一人で何もかも上手くできることはありません。
第三者の客観的なアドバイスから重要なことが発見できた、ということがたくさんあります。


「人材・経営能力面の困難性」
「人材の確保」「知識・ノウハウの習得」「財務・法務等の知識の習得」などは、とくに女性の創業希望者にとってボトル・ネックになっているようです。
専門家に依頼し解決することはできます。また、公的支援のなかに専門家派遣事業というものがありそこに依頼することもできます。ただし、大枠は自分で把握しておくべきです。創業前の準備段階で独学することもできますし、上記の公的支援機関において学ぶこともできます。
また、資金面では熊本県の雇用促進対策資金や厚生労働省関係の中小企業基盤人材確保助成金などの助成制度を活用し優秀な人材を雇用することもできます。
専門家などへのアウトソーシングは、事業立ち上げおよび継続に必要なことです。しかし、すべてお任せではなく大枠・概要をおさえることは今後、経営者として生きていくために欠かせないことです。

「制度・手続面の困難性」
「開業に伴う各種手続き」「事業分野における規制の存在」も上記と同じことがいえます。現在の社会・経済状況からみても創業には慎重を期するべきであり、ひとたび創業すれば、本来のビジネスに専念すべきです。創業準備に多くの時間をかける余裕はないし、可能な限り効率よく計画的に準備しなければ、創業当初からつまずくことになりかねません。
事前にポイントをおさえ調査し、分からないことは支援機関や専門家に相談しておくことをおすすめします。

(7)10の「やるべき事」           出所:「MBA起業家育成」学習研究社
1.夢 起業家は、自分自身や自分の事業がこれからどうなるのか、見通しをもっている。もっと大切なのは、彼らがその夢を実現させる力があるということだ。
2.判断力 起業家は躊躇しない。すばやく判断する。すばやさも成功の要因の1つとなる。
3.実行力 一度決めたら、可能な限り早く動き出す。
4.決意 起業家は事業に全身全霊を注ぐ。たとえ困難な障害にぶつかってもあきらめない。
5.献身 起業家は、時に友人や家族との関係を犠牲にしても事業に打ち込み、疲れることもなく働く。事業を立ち上げようと必死になっているときは、一日12時間、週7日働くことも珍しくない。
6.思い入れ 起業家は自分の仕事を愛している。困難な時でも耐えられるのは、好きだからこそだ。また自分の製品やサービスに思い入れがあるから、効果的に売ることが出来る。
7.ディテール 悪魔はディテール(細かい部分)に住むといわれる。これはまさに事業を立ち上げ成長させる時にあてはまる。起業家は、細かな部分にまで注意を払わなければならない。
8.目標 起業家は従業員に頼るよりも、自分で目標を達成しようとする。
9.お金 金持ちになることが、起業の主な動機とはならない。お金はむしろどれだけ成功したかを測る指標だ。起業家は、成功すればその分報われると考えている。
10.分配 起業家は、事業の成功に欠かせない従業員たちに、所有権を分け与える。


2.  支援制度活用にあたってのワンポイントアドバイス
      〜融資・助成金などについての活用方法など〜


(1)どんな種類の支援制度があるのでしょうか





(2)経営資源の少ない個人創業希望者・中小企業者にとって公的支援は非常に重要な制度となります。わが国の経済再生・活性化をはかるためには、創業・新事業展開に挑戦する個人及び中小企業への支援が大きな役割をはたします。しかし、それはあくまで自助努力する個人・中小企業者にたいする支援です。すべてを任せることは出来ません。また、公的支援に頼りきった事業計画では、創業後に成長・発展することは難しいでしょう。
このポイントを押さえた上で支援制度を活用しましょう。




(3)創業時での融資

@ まず創業に必要な資金計画をたてて下さい。これには創業後の運転資金を当然含みます。
創業した方がよく言われるのに、経費は予想よりも多く出費があり、収入は予想より少なく大変苦労した。これは、普遍的でこれから創業する人にも当てはまると考えてください。その上で綿密な資金計画をたてて下さい。
また資金計画には、いわゆる請求書を発行したり、受け取ったりする時点で計上する「発生主義」と、実際に代金を振り込まれたり、支払ったりする段階で計上する「現金主義」の二種類あります。勤めているときは「現金主義」に対する認識が少ないのですが、自分で事業を行う場合は「現金主義」で計画して下さい。

A 自己資金だけでは事業が成り立たない時に融資を考えましょう。国民生活金融公庫や国・県・市町村の融資制度を利用します。ただし、融資を受けるには資格や条件があります。融資をするほうも無条件に誰でも良いという訳ではないのです。パンフレットやホームページ上で調べることも必要ですが、できれば実際に窓口に相談に行かれることをお薦めします。そこで説明を聞き疑問点があれば、できるだけ具体的に投げかけてみた方が良いでしょう。安易な気持ちで開業し、運転資金が底をつきかけたときに急いで駆け込んでも遅いのです。
 融資を受ける金額も自己資金が30%位で後は借入金、または、創業時に数千万円の借入金が必要という計画も、計画自体に無理があると考えた方が良いでしょう。

B 一般の金融機関に比べ、公的な融資制度は支援する意味もあり審査基準や利子面での優遇がありますが、そう簡単に資金を提供してくれるわけではありません。確固たる事業計画をたててから相談にいきましょう。




(4)助成金の活用

@
一口に助成金といっても厚生労働省関係の事業主に対する助成金だけで30種類以上あります。分類すると「雇用創出」「継続雇用」「雇用促進」「雇用安定」「社員教育」「福利厚生」となります。また産業経済省関連では研究開発などに対する助成金があります。ここでは創業に関する助成金のポイントを説明します。

A 主な創業に関する助成金
★ 地域雇用受皿事業特別奨励金
地域に貢献する事業を行う法人を設立し、再就職を希望する者(65歳未満)を常用労働者及び短時間労働者として合わせて3人以上雇用した場合に、新規創業に係る経費及び労働者の雇入れについて奨励金が給付されます。
申込機関 (財)産業雇用安定センター

★ 受給資格者創業支援助成金
雇用保険の受給資格者自らが創業し、創業後1年以内に雇用保険の適用事業者の事業主となった場合に、当該事業主に対して創業に要した費用の一部について助成します。
申込機関  公共職業安定所

★ 高年齢者等共同就業機会創出助成金
45歳以上の方が3人以上で、自らの職業経験等を活用すること等により、共同して事業を開始し、労働者を雇入れて継続的な雇用・就業の機会を創設した場合に、当該事業の開始に要した経費の一定範囲の費用について助成されます。
申込機関 (財)高年齢者雇用開発協会

★ 中小企業基盤人材確保助成金
都道府県知事から雇用管理の改善計画の認定を受け、当該改善計画に基づき、新分野進出等(創業、異業種への進出)又は経営革新に必要な中小企業者の経営基盤の強化に資する人材を雇入れた場合に助成されます。
申込機関  雇用・能力開発機構


※ 各助成金の詳細はガイドブック本文にて参照してください。
B 注意事項
   助成金は融資と違い利子が付かないどころか返却する必要のないお金です。この先行き不透明な経済環境のなかで、助成金制度を活用するかしないかはでは、事業発展に大きな違いがでてきます。しかし、これにも条件や資格が必要になります。また説明会に参加しなければならない助成金制度もあります。もっともポピュラーな雇用・能力開発機構の「中小企業基盤人材確保助成金」をフローで説明します。

雇用・能力開発機構の説明会に予約
雇用・能力開発機構の説明会に出席
改善計画認定申請書の作成
改善計画認定申請書の相談
改善計画認定申請書の修正・提出
都道府県庁に改善計画認定申請書の提出
設備投資の見積書の金額をリストに記入
実施計画申請書を作成・提出し、認可
従業員を雇い入れ

都道府県によって多少の手続きの違いがある場合もありますので、これも事前に相談しておいて下さい。また他の助成金も制度の目的の違いにより要件等が異なります。

助成金の活用は事業経営にたくさんの恩恵をもたらします。また、助成金は経営のライフステージのさまざまな場面で活用できます。創業時、社員の福利厚生、社員教育、高齢者の継続雇用など、成長に応じて用意されています。
ただし、当初から助成金を資金繰りのあてにすることや、運転資金の計画に組み入れるのは危険です。
そのことに留意して助成金制度を活用し、事業の拡大や従業員の資質向上などに利用してください。


3.創業を目指す方への応援メッセージ

 マズローの欲求5段階説というものがあります。
@ 生理的欲求(衣・食・住)
A 安全欲求(雇用の安定)
B 社会的欲求(集団帰属)
C 承認欲求(評価・尊敬されたい)
D 自己実現欲求(成長したい)

 創業を志す時にあなたはどの段階におられたでしょうか。入社して間もなく、とにかく生活するのに大変だ。そろそろ仕事も慣れて落ち着いてきた。この会社(組織)の一員になれてうれしい。組織の中で評価されたい。自分の夢を実現したい。

 多くの方が「自分の夢を実現したい」と考えられての創業ではないでしょうか。もちろんこの経済状況です。やむにやまれずに創業を考える方もいるでしょう。創業の理由はさまざまでしょうが、どちらもまた最初からのスタートです。一つずつ階段を昇っていかなければなりません。成功するには運もあるでしょが、努力を積み重ねない人に幸運は訪れません。たまたま何かあたって成功したという人も、継続して成功することはありません。
 精神論だけで創業して成功するものではありませんが、コツコツと地道に努力し、自分を信じ、時には自分を褒めて、夢を実現してください。そのためにも、活用できるものは活用してください。社会が創業を志すあなたを応援しているのです。たとえ少人数の雇用でも、小さなイノベーションだとしても、その総和が大きな社会貢献につながり世の中を豊かにしていきます。

 創業を志したら経営理念(ビジョン)を考えてください。経営理念なんて大企業しか必要ないだろ、勤め先にもあったけど覚えてないな、まずは一人で創業するから関係ないだろ、といわれるかもしれません。従業員数何万人という大企業のトップでも、たった一人での個人商店の事業主でも、事業にかける情熱は同じです。世の中の何かに役に立ちたい、顧客に喜ばれたい、と想う気持ちは同じはずです。永く継続している事業、地域社会に支持されている事業は、提供される商品・サービスに満足しているから購入しているのです。これから創業の準備から実際の立ち上げ、開業してからの運営と今までに経験したことの無いことばかりです。忙しくて何をしているのか分からなくなる時もあるでしょう。そんな時に、創業の志を経営理念(ビジョン)とし、迷いそうになったときは、いつでも原点に戻れるようにしておいてください。また従業員を雇用したときには、理念を共有して強い組織に育ててください。

 欧米諸国では創業者に尊敬の念を抱き、仮に失敗しても再起を温かく歓迎する土壌があります。またそれを支援する社会的システムもたくさんあります。わが国も徐々にその兆しがでてきました。果敢にチャレンジする創業者を社会が必要としています。是非とも創業の夢を現実のものとされんことをお祈りいたします。
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